Classiques japonais avec furigana
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ふぐ
河豚
吉川 英治
Lisez 河豚 (ふぐ) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 3 411 caractères · 7 écrans
山陰あたりでも冬は河豚が盛んに供されるそうだが、まだ裏日本の河豚は僕は知らない。「なめらふぐ」という種類で、まずいという人もある。金沢の卯の花漬は、焙って食べるもので、これは人が珍重がる。萩の桜漬も焼いて食うのであるが、チリ、刺身を思っては、その味は遠い。
別府に、冬を半月ほど暮していた間、晩になると河豚をたのしんだが、味もよし、女中のあしらいも綺麗事で、東京に近ごろ殖えたのとは比較にならない。白いキモと春菊の真っ青なのが焜炉の火のうえでコトコトと音立てている冬の夜ほど温かに囲まれたいという気のするものは他にない。
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あれほど美味いという河豚も、もしあの刺身の黄橙酢に添える浅葱と、チリ鍋に入れるこれが冬の畑の物かと眼を醒ますような青々とした春菊がなければ、僕は箸を出す気になれまいと思う。
その春菊は、東京の八百屋にもあるが、かんじんな浅葱がない。いつぞや、岩崎栄が電話で今夜河豚を持ってゆくから、野菜の添え物はそちらで頼むとかけて来た。新聞杜から提げてくる河豚などは、金輪際迷惑のいたりだから断るというと、馬鹿にするな、見てからものを申してもらいたいと云う。