Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ぬまふじん

沼夫人

泉 鏡花

Lisez 沼夫人 (ぬまふじん) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 39 541 caractères · 78 écrans

Aozora Bunko

十八

」

十八

「それと同時に小児の事が気になって……言い出すと、女中ともう寝たろう。で、大して心配もしない様子、成程寝る時刻、九時ちと過ぎたかも知れない。汽車が二三度上下した。

この汽車だが……果しの知れない暗闇の広野――とてもその時の心持が、隅々まで人間の手の行届いた田圃とは思われない、野原か、底知れぬ穴の中途――その頼りなさも、汽車の通るのが、人里に近くって嬉しかった。それが――後には可悪い偉大な獣が、焔を吹いて唸って来るか、と身震をするまでに、なってしまった。

第一、足の出しようがない。それに……

もうこう夜も遅くなっては、何事もなく無事に家に帰るとして、ただ二人で今までなんだから、女中はじめ変に思おう。特に出征中の軍人の夫人だ。そうでもない、世間じゃ余計な風説をしている折からだから憂慮わしい。

(どうでしょう。)

と甚だ言兼ねた事ではあったが、既に――人が見ては悪いわ――と言ってくれた人だから、こう聞いた。が、その実、いいえ、人は何とも思うまい、とこの人だけに、心配をせずに居ようと期したんだ。するとちと案外で、

(さあ、私もそれが気になります。)

返事がこれで。