Classiques japonais avec furigana
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ようとう
洋灯
横光 利一
Lisez 洋灯 (ようとう) de 横光 利一 (よこみつりいち) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 3 869 caractères · 8 écrans
家がまた新しく変ったからであるが、この第二の学校のすぐ横には疏水が流れていて、京都から登って来たり下ったりする舟が集ると、朱色の関門の扉が水を止めたり吐いたりした。このころ、この街にある聯隊の入口をめがけて旗や提灯の列が日夜激しくつめよせた。日露戦争がしだいに高潮して来ていたのである。疏水の両側の角刈にされた枳殻の厚い垣には、黄色な実が成ってその実をもぎ取る手に棘が刺さった。枳殻のまばらな裾から帆をあげた舟の出入する運河の河口が見えたりした。そしてその方向から朝日が昇って来ては帆を染めると、喇叭のひびきが聞えて来た。私はこの街が好きであった。しかし私はこの大津の街にもしばらくよりいられなかった。再び私は母と姉と三人で母の里の柘植へ移らねばならなかった。父が遠方の異国の京城へ行くことになったからである。小学の一年で三度も学校を変えさせられた私は、今度はもとの伯母の家からではなく、祖父の大きな肩の見えた家から学校へ通った。
私はこの家で農家の生活というものを初めて知ったのだった。それは私の家の生活とは何ごとも違っていた。どちらを向いても、高い山山ばかりに囲まれた盆地の山ひだの間から、蛙の声の立ちまよっている村里で、石油の釣りランプがどこの家の中にも一つずつ下っていた。