Classiques japonais avec furigana
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ふどうするちか
浮動する地価
黒島 伝治
Lisez 浮動する地価 (ふどうするちか) de 黒島 伝治 (くろしまでんじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 14 079 caractères · 29 écrans
麦を踏み折られて、ぶつ/\小言を云わずにいられなかったのは小作人だ。
親爺は、麦が踏み折られたことを喜んだ。
地主も、自作農も、麦が踏まれたことは、金が這入ることを意味する。
敷地買収の交渉が来た。
一畝、十二円六十銭で買った畠を、坪、二円三十銭で切り出して来た。一畝なら、六十九円となる訳だ。
親爺は、自家に作りたい畠だと云って、売り惜んだ。
坪、二円九十銭にせり上った。
親爺は、地味がいゝので自家に作りたい畠だと、繰りかえした。そして、売り借んだ。単価がせり上った。
僕は、傍でだまってきいていて、朴訥な癖に、親爺が掛引がうまいのに感心した。坪二円九十銭なら、のどから手が出そうだのに、親爺はまるッきり、そんな素振りはちっとも現わさないのだ。
とうとう、三円五十銭となった。
家の田と畠は、三カ所、敷地にひっかゝっていた。その一つの田は、真中が敷地となって、真二ツに切られ、左右が両方とも沿線となるようになっていた。
敷地ばかりでなく、沿線一帯の地価が吊り上った。こんなうまいことはなかった。
田と畠を頼母子講の抵当に書きこみ、或は借金のかわりに差押えられようとしていた自作農は、親爺だけじゃなかった。