Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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うみにいくるひとびと

海に生くる人々

葉山 嘉樹

Lisez 海に生くる人々 (うみにいくるひとびと) de 葉山 嘉樹 (はやまよしき) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 161 305 caractères · 321 écrans

Aozora Bunko

むやみに非常汽笛を鳴らし、救いを求め、そこへ錨をほうり込んだ。

今、それほど万寿丸を驚かした、軍艦のように速力の速い怪物は、百年一日のごとく動かない大黒島であり、大砲は霧信号であった。

わが万寿丸はその二十間手前まで九ノットの速力で、大黒様のお尻の辺をねらってまっしぐらに突進して来たのだった。

あぶなかった。錨がはいると、皆は、期せずしてホッとした。

大黒島の燈台では、乱暴にも自分を目がけて勇敢に突進して来る船を認めたので、危険信号を乱発したのだった。幸いにして、この無法者は、間ぎわになってその乱暴を思い止まった。

万寿丸は「動いてはあぶない」とばかりに、立ちすくんだ盲人のように、そこに投錨して一夜を明かすことになった。

奇妙きてれつなる一夜であった。船も高級船員もソワソワしていた。おもてのものだけは、一夜を楽に寝ることができた。

二六

翌朝万寿丸は、雪に照り映えた、透徹した四囲の下に、自分の所在を発見した。それはすこぶる危険なところへ、彼女は首を突っ込んでいた。

船員たちは、自分の目の前に、手の届きそうなところに、大黒島の雪におおわれた、鷲の爪のような岩石に向き合っており、左手に一体に海を黒く、魔物の目のように染める暗礁を見いだした。