Classiques japonais avec furigana
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かいいき
海異記
泉 鏡花
Lisez 海異記 (かいいき) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 18 223 caractères · 37 écrans
」
「何、姉さんが泣くからだ、」
と唐突にいわれたので、急に胸がせまったらしい。
「ああ、」
と片袖を目にあてたが、はッとした風で、また納戸を見た。
「がさがさするね、鴉が入りやしまいねえ。」
三之助はまた笑い、
「海から魚が釣りに来ただよ。」
「あれ、厭、驚かしちゃ……」
お浜がむずかって、蚊帳が動く。
「そら御覧な、目を覚ましたわね、人を驚かすもんだから、」
と片頬に莞爾、ちょいと睨んで、
「あいよ、あいよ、」
「やあ、目を覚したら密と見べい。おらが、いろッて泣かしちゃ、仕事の邪魔するだから、先刻から辛抱してただ。」と、かごとがましく身を曲る。
「お逢いなさいまし、ほほほ、ねえ、お浜、」
と女房は暗い納戸で、母衣蚊帳の前で身動ぎした。
「おっと、」
奴は縁に飛びついたが、
「ああ、跣足だ姉さん。」
と脛をもじもじ。
「可よ、お上りよ。」
「だって、姉さんは綺麗ずきだからな。」
「構わないよ、ねえ、」
といって、抱き上げた児に頬摺しつつ、横に見向いた顔が白い。
「やあ、もう笑ってら、今泣いた烏が、」
と縁端に遠慮して遠くで顔をふって、あやしたが、
「ほんとに騒々しい烏だ。」
と急に大人びて空を見た。