Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

せいひんのしょ

清貧の書

林 芙美子

Lisez 清貧の書 (せいひんのしょ) de 林 芙美子 (はやしふみこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 18 061 caractères · 36 écrans

Aozora Bunko

「朴さん、あの靴、穴が明いていたでしょうに……」

「よろしいよ。どうせ屋敷で儲けるからねえ」

「助かりましたわ」

「よろしいよ。小松さんは帰りは遅いですか?」

「ええいつも夜になってから……」

「大変ですな。――ところで、石油コンロ買いませんか、金は三度位でよろしいよ」

「ええ……どの位ですウ」

「九拾銭でよろしいよ。元々、便利ですよ」

朴は冷々と気持ちがいいのであろう、玄関の長い廊下に寝そべって、私が石油コンロを鳴らしている手附を見ていた。大分、錆附いてはいたけれど、灰色のエナメルが塗ってあって妙に古風だ。心に火をつけると、ヴウ……と、まるで下降している飛行機の唸りのような音を立てる。

「石油そんなに要りません。一鑵三月もある。私の家もそう」

石油コンロを置いて朴が帰ると私はその灰色の石油コンロを、台所の部屋の窓ぎわに置いて眺めた。家具と云うものは、どうしてこんなに、人間を慰めてくれるのだろう。

夕方井戸端で、うどんを茹でた汁を捨てていると、小里氏の子供が走って来て空を見上げた。

「ねえ、小母さん! 飛行機が飛んでらア」

「どこに?」

「ホラ、音がするだろう……」

私は、空を見上げている子供の頭を撫でていった。