Classiques japonais avec furigana
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しぶやけのしそ
渋谷家の始祖
宮本 百合子
Lisez 渋谷家の始祖 (しぶやけのしそ) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 68 023 caractères · 133 écrans
けれども、学識と天分とを、豊に持った、青年教授として、好意に満ちた副島氏の紹介につれて、壇に上せられた自分が、どうしてこんな、田舎言葉が分らないと、白状出来よう、こう云って、正隆の頼りない、孤独な自尊心が呻くのである。
勿論、これが位置顛倒して、自分が一人の学生で、傷だらけな机から逆に此方を眺めるのなら、こんな苦痛は、百分の一にも満たないだろうことを、正隆は知っていた。
けれども、教室に出て、生徒の質問を受ける毎に、感違いすることを杞(おそ)れ、自分の弱点を曝露することを恐れ、曖昧な言葉尻を、臆病に濁しながら、それでも、尚自分の自尊心に突つかれた権威を失うまいとする正隆の苦労は、全く、彼にほか解らない重荷であった。
そればかりか、正隆にとっては、毎日顔を合わせなければならない同僚が、また堪らないものなのである。
四
正隆が同僚に対して持った感じは、矢張り一種の不安と、いわるべきものであったろう。彼は、仲間の年長者達が、数年若輩である自分に向ける、試問的な眼をきらっていた。表面は、好意と助力とに満ちているらしく振舞いながら、内心では私に、自分と彼とを計量器に掛けるような態度。