Classiques japonais avec furigana
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しぶやけのしそ
渋谷家の始祖
宮本 百合子
Lisez 渋谷家の始祖 (しぶやけのしそ) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 68 023 caractères · 133 écrans
早く追い払いたかったのだ。けれども、相当に学識もあり、美貌でもあり、また生れのよい、彼とは特殊な関係で繋がった自分を、そう理由にならない口実で、追放することは出来ない。そこで、陰から先ず学生を唆(そそのか)して自分を虐待させながら、一方、彼自身は、飽くまでも親切さを装って、食事に招待したのだ。
招待して置いて、散々楽しませ、悦ばせた揚句、あんな赤恥を晒させることは、而も、美くしい夫人まで使って恥を掻かせることは、勿論、直接法に怒らせるよりは、効果が多いのは知れきっているではないか。
「南瓜頭(ペンプキンヘッド)!」
そうして置いて、垣内を、あの垣内を何時の間にか手なずけて置いて、丁度見計らった頃を狙って、園田との芝居をさせたに違いないと、正隆は決定したのである。
平常は、あんなに温順で、教室などでは、地蜂のような少年に混って、まるでいるかいないか分らないように恐縮している園田までが、一緒になって自分に懸って来るかと思うと、正隆は、血の煮えるような憤りを感じる。こんな計画を立て、追い出て行く自分を人々は待っているのだ。
正隆は、みみず腫れに膨れ上った手の甲を撫でながら、あらゆる人々に向って、苦艾(にがよもぎ)のような嘲笑を投げようとした。