Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しぶやけのしそ
渋谷家の始祖
宮本 百合子
Lisez 渋谷家の始祖 (しぶやけのしそ) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 68 023 caractères · 133 écrans
良人を全部、信じ、肯定しきれない信子夫人は、心の中では、幸福な姉達の生活を比較しながら、あでやかな眉を顰めて、憐れな良人を眺めたのである。
総ては、どこにも捌(は)け口のない濁流の渾沌さで彼の周囲に渦巻いた。
正隆は自分の苦悶を、肯定してくれる者もなければ、また力強く否定して、鞭撻しようとしてくれる者もないのを発見した。妻も、母も、遠く、或は近いといっても、或る一定の距離を隔てて面する以上決して、より接近し、しっかりと魂の奥まで掴んでくれようとはしない。不思議に、遣場のない不安、呪咀。当のない力の焦躁。行き処がない、行き処がない……
正隆は、憤りにまかせて、フム! やって見ろ! と叫ぶだろう。けれども、それは決してその瞬間の、心そのものの空虚を満すものではなかった。相変らず、淑やかな、温順な、動じない妻。正隆や、正隆や、と云う母。然し、二人は、何の力も加えてはくれないのだ。彼女等の、相変らずの柔かさ、ほの温かさが正隆を、一層苦しませる。彼は、自分と共に若し信子も怒鳴って、狂(あ)れて、呪咀すべき運命、人間、に拳を振ってくれたらば! と、思う。それでなかったら、何か、火のような言葉で、自分をハッとさせてくれさえしたら! と希う。