Classiques japonais avec furigana
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わたらせがわ
渡良瀬川
大鹿 卓
Lisez 渡良瀬川 (わたらせがわ) de 大鹿 卓 (おおしかたく) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 280 528 caractères · 557 écrans
第九章
正造は人々に訣別でも告げるように、なにか改った調子で言葉を結ぶと、感慨深そうな様子で議場を一まわり見渡し、それから危げな足どりで一段々々数えるように階段を下りた。
閉会の翌々日の夜、正造は議会中の無理のために宿痾をこじらせた態で、ひどく気力の減退をおぼえたので順天堂へ入院した。しかし人を避けてひとりになってみると、万感交※(二の字点、1-2-22)胸に至って、かえって落着かなかった。入院早々また退院しようかとさえ思ったりした。
翌二十七日、入獄者の最後の六人が保釈で出獄した。
第九章
五月十一日、正造は小舟町の旅舎静岡屋で足利の原田定助宛に書信をしたためた。
「去月来、東京諸新聞雑誌社等その他奔走せしにその結果は誠に上々。
かれこれ日夜脳病に苦しめり。正造の脳病は無形病なり、肉体の健不健に係らず候。幸い近日来肉体は健全なり、脳病は全く無形病にて、医師にも分り兼ねるものなり。約言せば元気気力記憶忍耐思慮活溌精細等の妨を為す病にて、非常の難病なり、凡そ人類中思慮を要するものにしてはこの上なき難病なり。然れ共この病の害を受けざるものは、我が精神にして潔白正直短気怒気等の要部は依然として存在し居れり。