Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
おぼるるもの
溺るるもの
豊島 与志雄
Lisez 溺るるもの (おぼるるもの) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 17 690 caractères · 36 écrans
あたし達のような商売の女には、愛ということと馴染ということとが、大抵の場合同じだった。三度逢えば三度分の愛がもてたし、十度逢えば十度分の愛がもてた。だから、あの人が度重ねてしげしげやってくるにつれて、あたしはそれだけの愛を持ったかも知れない。けれど……そればかりではなかったかも知れない。初めのうちは、あたしはあの人のことをのろけ話の種にしたこともあったが、後になると、あの人のことを少しも口に出さないようにした。口に出せなかった。
普通の色恋とはちがった別なものがあった。あの人にも、何だか足りないところと多すぎるところとがあった。気持がひどく内気で臆病なようだったが、考え方がごく大胆で厚かましいようだった。世の中のことにうとくてぽかんとしてるようだったが、人情の深いところまで見通してるようだった。機嫌がよくてにこにこしてる時もあれば、口を利くのもうるさいといった風な時もあった。身装はさほどよくなかったが、お金のことには至って無頓着だった。一体に無口の方だったが、時々とってつけたように、上手な皮肉や洒落を云った。声に出しては唄一つ歌わなかったが、よく口の中で何かの節を歌っていた。