Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

おぼるるもの

溺るるもの

豊島 与志雄

Lisez 溺るるもの (おぼるるもの) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 17 690 caractères · 36 écrans

Aozora Bunko

その時、あたしはふとあの人の言葉を思い出した。僕は君の一生のことを考えているんだ、今のことじゃない、お婆さんになった先のことまで考えているんだ……。あたしは眼をつぶった。真暗なものが見えてくる……。石塔の代を盲目の兄のところへ返して、それから、一生だって……。どこまでも、はてもなく、真暗な闇が続いてるようだった。あたしは笑ってやりたかった、が笑えなかった。泣いてやりたかった、が泣けなかった。歯のぬけたあとに冷い風が吹きこんだ。

長くたってから、あたしはそっと階下の台所におりていった。戸棚の中を探して、冷い酒をコップで二三杯飲んだ。

それから、どうしたのか、あたしは眠ってる男をゆすり起していた。

「あたしが起きてるのに、眠るって法があるの。土竜みたいに、布団の中に頭からもぐりこんでさ……。お起きなさいったら。起きて頂戴よ。」

ふりの若いお客だった。なまっ白い額に柔い髪の毛が垂れかかっていた。それをかき上げながら、むっくり起き上って、あたしの方を頓狂な眼付で見ていた。

「何かして遊びましょう。ああそう、何にも道具がないわ。お人形が一つ……。それと、あたしがこうしてると、お人形のように見えなくって……。