Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
おぼるるもの
溺るるもの
豊島 与志雄
Lisez 溺るるもの (おぼるるもの) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 17 690 caractères · 36 écrans
どこかへ行く風でもなく、また散歩ともつかなかった。そして遠く、もう歩いてもいないほどに見えた時、男と女との間が離れた。女は土手の端の川縁に立止った。それを男は後ろから見やってるらしかった。そして……一分……二分……男はじりじりと女の方へ近寄っていった。
俺ははっとした。男は手をマントの下から出して、女の背中の方へ……。一突で女は川の中に落ちる……。ではなかった。男の手が女の肩にかかると、二人はぴったりくっついて一つの影となった。女が身を投げるんでもなければ、男が女を突落すんでもなければ、二人で飛込むんでもなかった。ぴったりくっついたまま、そこに屈みこんでしまって、それきり動かなかった。
変に俺の気持は平らでなかった。なあーんだ、と思っても、やはり気にかかった。俺は長い間その方を窺っていた。が屈みこんで一つになってる二人の影は、いつまでたっても身動きもしなかった。
しまいに俺は根気負けがして、柱の影から出て歩き出した。時々振返ってみたが、遠くにぽつりとしてる黒い姿は、やはりそのままで、もう二人の人間とも思えなかった。
言問橋の上に出ると、急に寒くなった。