Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

みおつくし

澪標・落日の光景

外村 繁

Lisez 澪標・落日の光景 (みおつくし) de 外村 繁 (とのむらしげる) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 130 889 caractères · 268 écrans

Aozora Bunko

年寄の冷水と笑われるかも知れない。しかし妻のために、私は少しでもより健康になりたいのである。今日はひどく暖い。少し歩いただけで、私の肌はもう汗ばんでいる。

この一本筋の街を行き過ぎると、病院の構内の東北隅に突きあたる。私は心竊かに沈丁花の高い香りを期待していたのである。しかし今日の暖気の中には、花の香りはなかった。やはりこの花の香は、早春の寒冷な空気の中に、漂い匂うのがふさわしいのか知れない。私は病院の正門を入り、沈丁花の植込の方へ行ってみる。沈丁花の花弁の紫色はすっかり色褪せてしまっている。盛りを過ぎた花の香りは極めて儚い。

妻の病室に入ると、妻は微笑を浮かべて起き上り、いきなり言った。

「こちら、花井先生の奥さんでしたのよ。びっくりしました」

花井氏は関西のある大学の教授である。妻とは以前からの知合いである。また、辻本という私の友人も同じ大学の同じ学科の教授である。従って花井氏のことは、私もしばしば聞いた。

「そうか。それは、実に、偶然でしたね。辻本君とは高等学校からの、親しい友人なんです」

「そうですってね。しかし、お互に、こんなところで、お目にかかるなんて、ねえ」