Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ひのついたかかと

火のついた踵

宮本 百合子

Lisez 火のついた踵 (ひのついたかかと) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 16 781 caractères · 34 écrans

Aozora Bunko

それからね、お客様がいらしったら、直ぐこちらへお通しして頂戴。私ここにいるから――

きよ はい――。先ほどのお菓子は、いつものお皿でよろしゅうございますか?

みさ子 ああいいわ、あの花のついた方ね。

きよ、軽く会釈して行きかける。

みさ子 あ、きよや、旦那様は何をしていらっしゃるの?

きよ (立止り)さあ……先ほど、御書斎の方においで遊しましたが……

みさ子 それならいいのよ。有難う。

きよ、去る。

みさ子、卓子の上の小籠から、白い、センター・ピースを出し、ぽつぽつ縫取を始める。けれども、心は落付かず、折々凝っと、細い指に嵌(はま)った結婚指環を眺めたり、我と我心をなだめるように、髪を撫であげたりする。感じは内に満ち、満ち、而も、表すに途のない素振り。ほどなく、垂帳の裏から、

きよの声 奥様?

みさ子 (頭を押えていた手を落し)なに?

きよ (部屋に姿を現し)橋詰様がいらっしゃいました。

みさ子 おひとり?

きよ いいえ、あの……

云い切らないうちに、足音。若い男の声。

谷  僕も一緒ですよ。

谷三郎、橋詰英一、連立って快活に現れる。

谷  やあ! 今日は。

みさ子 (ひとりでに、活々とし)まあ、よくいらしったわね。