Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ひをてんず

火を点ず

小川 未明

Lisez 火を点ず (ひをてんず) de 小川 未明 (おがわみめい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 4 105 caractères · 9 écrans

Aozora Bunko

「なに、これは五厘銭じゃねえか、五厘ごまかそうと思いやがって……。」と、いまいましそうにいって、顔の色を変えた。

「おまけをしたうえに、ごまかされて、一合の頭でいくらもうかるけえ。」

無口な、おとなしそうな男に似合わず、急に怖ろしいけんまくとなりました。男は、すぐさま駈け出していきました。

「きっと、貧乏村の子供にちげえない。」

彼は、村の方に向かって、恐ろしい勢いで走りました。小さな子供の、油びんをぶらさげて、短い着物のすそから出た二本の足に、ぞうりをはいていく後ろ姿を見つけると、

「おい、餓鬼め、待て!」と、彼は、どなるとほとんど同時に、子供の後ろえりを引っ捕まえました。

もし、だれか村のものがこの有り様を見たら、あの平常口もきかない男に、こんな残忍なことができるかと、かつて想像のできなかっただけびっくりするでしょう。

「五厘ごまかそうなんて、ふらちなやつだ。」

「五厘出せ、それでなけりゃ、そのびんをよこせ。」

少年は、黒い大きな目をみはって、顔を真っ赤にして、なにもいえないで震えています。

「さあ、石油のびんを渡せ。」と、男は、少年の手から引ったくるとたんになわが切れて、びんは地上に落ちて、倒れると石油は惜しげもなく、口から雲母のごとく流れ出ました。