Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

はいいろのきおく

灰色の記憶

久坂 葉子

Lisez 灰色の記憶 (はいいろのきおく) de 久坂 葉子 (くさかようこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 65 588 caractères · 132 écrans

Aozora Bunko

もう少し、あなた自身をかわいがっておやりなさい。――

この手紙は一番滑稽とさえ思われた。私自身を愛することなど、どうして出来よう。私には、世の中や人々や常識を嫌悪すると同じ位、自分自身を嫌悪しているのだし、自分に若し才能があるとしてもそれは生きてゆく上に何の役立もせぬものだから。

白雲や気儘気随に空を飛ぶ

この掛軸を常に居間にかかげている私の好きなある婦人からは、

――夫にさきだたれて十三年。孤独の中に生きているのです。誰かを愛して、心から熱愛して、そのために生きること。あなたも愛することです。――

という紫の紙にかかれた手紙が来た。死んだ人を愛しながらまだ生きてゆくという彼女の生命の血が、私には不思議にさえ思われた。彼女は、私の友達の母であり、その友達以上に私と親しくしていた。未亡人もやはり、世の常識をきらっていた。そして、自分は今まで白雲のように生きて来たのだと云っていた。彼女は彼女の恋愛のため、家から縁をたたれ、たった一人の夫のみで生きて来たのだったと云った。私にとっては、亡夫にあやつられている魂のない人形のように思えるのだった。そして、ちっともそう云った生活は自由でないと思った。