Classiques japonais avec furigana
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むめいさっかのにっき
無名作家の日記
菊池 寛
Lisez 無名作家の日記 (むめいさっかのにっき) de 菊池 寛 (きくちかん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 21 441 caractères · 43 écrans
それが文壇的に認められる、十分な機会を備えていた。ことに、文科大学生の同人雑誌として、どんなに新鮮な感興を、文壇の一角に、感ぜしめているかもわからなかった。俺は無名の作家たちが、文壇の流行児の悪口を思う存分にいい合って、自分たちの認められない腹癒せをする場合を、考えることができた。俺と吉野君との会話も、ほとんどそれに近かった。それは弱者の弱い反抗に相違なかった。そう考えてくると、また空虚な感じに襲われた。それにしても中田博士は、俺の「夜の脅威」を、いつまで捨てておくのだろう。俺は、博士の無頓着に対して、軽い反感を懐かずにはおられなかった。
三月十日。
俺は、今日学校で佐竹君に会った時、
「おい君の長篇小説は、どうしたい」ときいた。すると、あの男は、暗い顔をちょっと明るくしながら、
「四百五十枚まで書いた。もう百五十枚書けばいい、この頃は創作熱がまるきり旺盛なのだ。毎晩三十枚を欠かしたことはない」と、昂然たるものがあった。
「どうしたい! 林田のところへ送っておいた小説は」
こうきくと、あの男は急に顔を暗くした。
「送り返してきたよ。雑誌には長すぎるからだって。