Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
むほうもの
無法者
豊島 与志雄
Lisez 無法者 (むほうもの) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 11 837 caractères · 24 écrans
有松夫人も久木未亡人も、志村が例の「内緒話」を囁いた相手なのだ。
志村は度胸をきめて、猪口を取り上げた。
旅行中で不在の主人の代理だと、房代夫人は言って、床の間の掛軸を指し示した。今井氏が愛撫してる竹田の山川画で、その斜め下の花瓶には、寒菊が清楚に活けてあった。
房代夫人とならば、たとい割烹旅館に泊りに行こうと危険なことはないと、この自宅では明かに分った。彼女が肥満していて、立てば腰から下がずんどうで、坐ればどっしりと揺がない、その故ではなかった。なにか愛慾ばなれのした中性的なものが彼女にはあった。今井氏が贔屓にしてる年増芸者の面影を、志村は頭に思い浮べた。
「志村さん、なにを考え込んでいらっしゃいますの。」と房代夫人は言った。「御結婚のこと、お覚悟はきまりましたの。」
「あのような話、きめないことに覚悟しています。」
「あ、場所ちがいでしたわね。やまぶきに参った時というお約束でしたから。」
「おや、君に結婚の話でもあるのかい。」とふしぎそうに吉岡が言った。
「やまぶき同様、あってなきが如く、なくてあるが如しさ。」
志村はなにか忌々しくなって、それからは、言葉少なに酒ばかり飲んだ。