Classiques japonais avec furigana
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むだい(さん)
無題(三)
宮本 百合子
Lisez 無題(三) (むだい(さん)) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 1 759 caractères · 4 écrans
魂と魂との愛が深くなればなる程、その魂を宿す身を求めずには居られない。
或時には、情慾だと思って、自分で恥じるほど激しい思慕が、身と魂を、白熱して燃え上って来るのである。そう云う時、彼女は、只出来得る限りの謙譲で、そのたい風の過ぎ去るのを待つよりほか仕方がなかった。しっかりとくんだ手を胸の上にのせて、汗ばんだ額を仰向けながら、自分達を透して輝く愛の前に跪拝してしまうのである。
そういう激しい亢奮が、生理的に彼女を刺戟するときでも、彼女は決して、具体的な対象を彼以外に求めようという気さえもなかった。
自分の持つ愛が際大な、運命と直接なものであればある程命の、本能的な純潔さの希望が、彼女を支配する。これは、真個に愛すこと、この事と同時に起る保守であるようにさえ見える。
愛する、生命と共に愛する者によって支えられた恍惚を、同じ程度に於て、如何那なる相手からも、生理的に与えられるという事を思うと、血が凍る。
其は斯ういう事なのだ。
私が仮令えば、愛する良人を持って、その愛に対する本能的な純粋さを持ち、希望し、勿論そのために総ての誘惑は可抗的なものであっても、若し泥棒や何かに強姦されでもした場合、単に生理的にでも、同じような亢奮を感じるものと仮定すると、如何に其を自然だとは云え、淋しい気がする、というのである。