Classiques japonais avec furigana
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ぼんのうひぶんしょ
煩悩秘文書
林 不忘
Lisez 煩悩秘文書 (ぼんのうひぶんしょ) de 林 不忘 (はやしふぼう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 86 705 caractères · 173 écrans
」
与七郎が、上から答えて、
「うむ。買って出たいところだ。あはははは。」
と、すぐ階上では、与七郎が法外先生の部屋の障子を開けたらしく、何かごそごそ言い合う声が、かすかに聞えて来る。
階下の座敷では、一同しばらく天井へ注意を集めて、聴耳を立てていたが、やがて、東馬が、
「だいぶ手間取るらしい。」
「そりゃそうじゃろう。なにしろ、見ず知らずの武士の娘を、酒席へ引っ張り出そうというのじゃからな。」
「なあに、老いぼれが一人くっついておるだけじゃ。ぐずぐず言えば、おれが行って、首根っこに繩をつけてひき下ろして来る。」
「しかし、世にも艶やかなる娘じゃわい。」
「彼娘に眼をつけるとは、殿もまた、持病が出たらしいぞ。えらい騒ぎにならねばよいが――。」
「なにを、分別らしいことを言う。さわぎと申したところで、父親をひっ掴まえて谷間の杉へでも、吊るし斬りにしてしまえば、後はこっちのものではないか。」
「そうそう! 殿のおあまりを順に頂戴して、あはははは。」
この一行は、もうかなり長く藤屋に滞在しているのだけれど、この乱暴に恐れをなして、宿の者は、誰も近づかないのだ。
夜も、更けている。