Classiques japonais avec furigana
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ぼんのうひぶんしょ
煩悩秘文書
林 不忘
Lisez 煩悩秘文書 (ぼんのうひぶんしょ) de 林 不忘 (はやしふぼう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 86 705 caractères · 173 écrans
それはそうと。
ふたたび言う。この夜から、八百八街の辻々に、完全に同じよそおいのふたりの祖父江出羽守が出没することになったので。
二人白衣――。
いずれをいずれとも見わけがたい。
あの、三国ヶ嶽山上の七年目の会合と、月の笠の予言した阿弥陀沢名物お山荒れと、見てはならぬ女髪剣のみだれ焼刃を覗いてしまった大次郎と、猿の湯の猿を斬ってその血に走る刀で、弓削法外先生を斃した、煩悩魔祖父江出羽と――果して! 渦紋は擾乱を呼び、事件は展開を予約して、場面はいま、大江戸に移っているのだ。
大次郎を失った千浪のこころ――。
そしてまた。
七年前に虐君出羽への復讐を誓って、名、金、女の三煩悩を追って三つに散った山の若者のうち。
今。
金を受持った江上佐助は、文珠屋佐吉と名乗る為体の知れない人物となり、もっとも危険な煩悩、おんなの係の有森利七はその女毒に当って意地も甲斐もない巷の遊芸人、恋慕流しの宗七と化し去り――ところが、この宗七、じつは、十手をお預りして黒人仲間に隠れもない捕物名誉だとのこと。
その宗七の留守中に、女房お多喜が富ヶ岡八幡から拾って来た美しい狂女を見て、三国ヶ嶽から帰宅って来た宗七、持前の頓狂な大声で、叫んだものだ。