Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
もゆるほお
燃ゆる頬・聖家族
堀 辰雄
Lisez 燃ゆる頬・聖家族 (もゆるほお) de 堀 辰雄 (ほりたつお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 71 309 caractères · 144 écrans
おまけに私がそいつの出帆に立会いたいと思っていた欧洲航路の郵船は、もうこんな年の暮になっては一艘も出帆しないことがわかった。私の失望は甚だしかった。そうしてただ小さな蒸汽船だけが石油くさい波を立てながら右往左往しているきりだった。ときどき私たちとすれちがって行く仏蘭西の水兵たちの帽子の上に、ポンポン・ルウジュが、まるで嬉しがっている心臓のように、ぴょんぴょん跳ねていたが、それが私の沈んだ心臓と良い対照をした。海岸通りの何とかいう薬屋のショオウィンドを覗いたら、パイプやなんかと一緒に五六冊、英吉利語の本が陳列されてあった。そのなかにふと海豚叢書の「プルウスト」を見つけたので、ゆうべの読みづらかったハイネの詩集を思い出しながら、その薬屋のなかへ這入ってその小さな本を買った。T君の話では、この店にはときどき随筆物で面白い本が来るのだそうだ。それからまた、私たちはその窓から電話やタイプライタアの強請ったり吃ったりする音の聞えてくる商館の間を何となくぶらぶらしてみたり、今では魚屋や八百屋ばかりになった狭苦しい南京町を肩をすり合せるようにして通り抜けたりしたのち、今度はひっそりした殆ど人気のない東亜通りを、東亜ホテルの方へ爪先きあがりに上った。