Classiques japonais avec furigana
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ばくだんたいへいき
爆弾太平記
夢野 久作
Lisez 爆弾太平記 (ばくだんたいへいき) de 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 49 653 caractères · 98 écrans
ところがこの友吉という親仁が、持って生れた利かぬ気の上に、一種の鋭い直感力を持っていたらしいんだね。いつの間にか爆薬密売買の手筋を呑み込んでしまって、独力で格安な品物を仕入れては仲間に売る。彼等仲間で云う「抜け玉」とか「コボレ」とかいう奴だ。そうかと思うと沖買いの呼吸を握り込んで「売るなら買おう」「買うなら売るぞ」「捕るなら腕で来い」といったスゴイ調子で南鮮沿海を荒しまわる事五年間……忰の友太郎も十歳の年から櫓柄に掴まって玄海の荒浪を押し切った。……親父と一所に料理屋へも上った……というんだから相当のシロモノだろう。
然るにコイツが、ほかの爆弾連中の気に入らなかった……というよりも、彼等の背後から統制している巨頭連の眼障りになって来た……と云った方が適切だろう。
忘れもしない明治四十五年の九月の五日だった。吾輩がこの絶影島の裏手の方へ、タッタ一人で一本釣に出た帰り途にフト見ると、遥かの海岸の浪に包まれた岩の上に、打ち上げられたような人間一人横たわっている。その上に十二三ぐらいの子供が取り縋って泣いている様子だから、可怪しいと思い思い、危険を冒して近寄ってみると、倒れているのは瘠せコケた中年男だが、全身紫色になった血まみれ姿だ。