Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ばくやくのはなかご

爆薬の花籠

海野 十三

Lisez 爆薬の花籠 (ばくやくのはなかご) de 海野 十三 (うんのじゅうざ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 101 908 caractères · 204 écrans

Aozora Bunko

祖国近し

房枝は、三等船室の丸窓に、顔をおしあてて、左へ左へと走りさる大波のうねりを、ぼんやりと、ながめていた。

波の背に、さっきまでは、入日の残光がきらきらとうつくしくかがやいていたが、今はもう空も雲も海も、鼠色の一色にぬりつぶされてしまった。

「ああ」

房枝は、ため息をした。つめたい丸窓のガラスが、房枝の息でぼーっと白くくもった。

なぜか、房枝は、しずかな夕暮の空を、ひとりぼっちで眺めるのがたまらなく好きだ。そしていつも心ぼそく吐息をついてしまうのである。

彼女は、両親の顔も知らない曲馬団の一少女だった。

彼女が、今抱えられているミマツ曲馬団は主に、外国をうってまわるのが、本筋だった。一年も二年も、ときによると三年も、外国の町々を、うってまわる。そうかと思うと、急に内地へまいもどって「新帰朝」を看板に、同胞のお客さまの前に立つこともあった。こんどは少しわけがあってわずか半年ぶりの、あわただしい帰朝だった。そうでなければ、ミマツ曲馬団は、まだまだメキシコの町々を、鉦と笛とで、にぎやかにうちまわっていたことだろう。

房枝が、曲馬団の一行とともに、のりこんでいたこの雷洋丸は、もうあと一日とすこしで、なつかしい祖国の港、横浜に入る予定だった。