Classiques japonais avec furigana
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ちちのそうしき
父の葬式
葛西 善蔵
Lisez 父の葬式 (ちちのそうしき) de 葛西 善蔵 (かさいぜんぞう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 5 864 caractères · 12 écrans
一昨日は落合の火葬場の帰り、戸山ヶ原で私は打倒れそうになったが、今朝は気分もはっきりしていた。三つ目のN駅は妻の村であった。窓から顔を出してみると、プラットホームの乗客の間に背丈の高い妻の父の羽織袴の姿が見え、紋付着た妻も、袴をつけた私の二人の娘たちも見えた。四人は前の方の車に乗った。妻の祖母と総領の嫁さんとは私たちの窓の外へ来て悔みを言った。次ぎのK駅では五里ばかし支線を乗ってくる伯母をプラットホームに捜したが、見えなかった。次ぎが弘前であった。
弟の細君の実家――といっても私の家の分家に当るのだが――お母さん、妹さん、兄さんなど大勢改札口の外で、改った仕度で迎いに出ていてくれた。自動車をやっているので、長兄自身大型の乗合を運転して、昔のままの狭い通りや、空濠の土手の上を通ったりして、何十年にも変りのない片側が寺ばかしの陰気な町の菩提寺へと乗りつけた。伯母はもう一汽車前の汽車で来ていて、茶の間で和尚さんと茶を飲んでいた。たった一人残った父の姉なのだが、伯母は二カ月ほど前博覧会見物に上京して、父のどこやら元気の衰えたのを気にしながらも、こう遠くに離れてはお互いに何事があっても往ったり来たりはできないだろうから――こう言って別れたのだが、やっぱしそういうことになった。