Classiques japonais avec furigana
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ちちかえる
父帰る
菊池 寛
Lisez 父帰る (ちちかえる) de 菊池 寛 (きくちかん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 7 615 caractères · 16 écrans
母 仕立物を持って行っとんや。
新二郎 (和服になって寛ぎながら)兄さん! 今日僕は不思議な噂をきいたんですがね。杉田校長が古新町で、家のお父さんによく似た人に会ったというんですがね。
母と兄 うーむ。
新二郎 杉田さんが、古新町の旅籠屋が並んどる所を通っとると、前に行く六十ばかりの老人がある。よく見るとどうも見たようなことがあると思って、近づいて横顔を見ると、家のお父さんに似ていたというんです。どうも宗太郎さんらしい、宗太郎さんなら右の頬にほくろがあるはずじゃけに、ほくろがあったら声をかけようと思って、近よろうとすると水神さんの横町へ、こそこそとはいってしもうたというんです。
母 杉田さんなら、お父さんの幼な友達で、一緒に槍の稽古をしていた人やけに、見違うこともないやろう。けどもうお前、二十年にもなるんやけにのう。
新二郎 杉田さんもそういうとったです。何しろ二十年も会わんのやけに、しっかりしたことはいえんけど、子供の時から交際うた宗太郎さんやけに、まるきり見違えたともいえんいうてな。
賢一郎 (不安な瞳を輝かして)じゃ、杉田さんは言葉をかけなかったのだね。