Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ふぼにたいするしじょう

父母に対する私情

豊島 与志雄

Lisez 父母に対する私情 (ふぼにたいするしじょう) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 4 333 caractères · 9 écrans

Aozora Bunko

そしてそんな時、父を思うことは私の力となった。何故だか私自身にも分らないが、父を思うと必ず私は、この通り立派に働いて暮しています、とそう父に云いたい気がしたし、どんなことにもへこたれるものか、という勇気が湧いてくるのだった。

それは、父を安心させ慰めたいのとは違う。男の意気地とも違う。しっかりしていなければ父に済まない、そういった気持である。お父さん、あなたの子は健在です、立派な生き方をしています、と父に向って――天に向って、叫びたい気持である。

母に対する感情は、常に私をしみじみと落付かせてくれる。

私は嘗て、頽廃的な自暴自棄な生活に陥りかけたことがある。尋常なことは凡て面白くなくなって、何か非常識な突飛なことばかりに心惹かれた。明るい輝かしいものが厭わしく、暗い悲惨なものばかりが好ましかった。昼間はぼんやりと下宿の室に籠っていて、夜になるとのこのこ出かけてゆき、都会の暗い穴を探し求めるような気で、酒を飲んだり彷徨したりした。最も多く狂人に出逢ったのも、最も多く無駄な金を使ったのも、最も多く健康を害したのも、最も多くドン・ファン的な気持になったのも、みなその頃のことだった。