Classiques japonais avec furigana
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ぎゅうにくとばれいしょ
牛肉と馬鈴薯・酒中日記
国木田 独歩
Lisez 牛肉と馬鈴薯・酒中日記 (ぎゅうにくとばれいしょ) de 国木田 独歩 (くにきだどっぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 54 018 caractères · 109 écrans
気にかかるというには種々の意味が含んでいるので、世間体もあるし、教員という第一の資格も欠けているようだし、即ち何となく心に安んじないのである。それに三円ということは自分も知らなかったのだ、その点は此方が悪いような気もするので、
「困ったものだ」と腕組して暫く嘆息をしていたが、
「自分で勝手に下宿屋を行っていながら、そんなことを言われてみると、全然私共が悪いように聞える。可いよ、私が今夜行って来よう。そして三円だけ渡して来る」
五月十一日
今日は朝から雨降り風起りて、湖水のような海もさすがに波音が高い。山は鳴っている。
今夜はお露も来ない。先刻まで自分と飲んでいた若者も帰ってしまった。自分は可い心持に酔うている。酔うてはいるもののどうも孤独の感に堪えない。要するに自分は孤独である。
人の一生は何の為だろう。自分は哲学者でも宗教家でもないから深い理窟は知らないが、自分の今、今という今感ずるところは唯だ儚さだけである。
どうも人生は儚いものに違いない。理窟は抜にして真実のところは儚いものらしい。
もしはかないものでないならば、たとい人はどんな境遇に堕るとも自分が今感ずるような深い深い悲哀は感じない筈だ。