Classiques japonais avec furigana
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こぶ
犬田卯短編集 一
犬田 卯
Lisez 犬田卯短編集 一 (こぶ) de 犬田 卯 (いぬたしげる) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 48 259 caractères · 96 écrans
と彼は思わずひとり言をかっとばした。「そんな大べら棒ってどこにある。」
「いよう、なんだや、今頃――」
ひょいと横あいから自転車を飛ばして知合いの男が姿を現した。
「おう、君か――君こそ何だい今頃。」
「俺か――俺は商売さ。」
ひらりと自転車を下りたその中年の男――選挙ブローカーもやれば、墓碑の下文字も書く、蚕種、桑葉、繭の仲買いもやれば、雑穀屋の真似もやると言ったような存在――俗称「塚屋」で通っているこの五尺足らずの顔面ばかりが馬鹿に大きく、両眼はあるか無きかの一線にすぎない畸形児風の男は、浩平をまともに見て、にやりと笑った。そして口ばやに、
「組合さお百度踏んでも肥料は来めえ。」
「組合長が県や政府や会社へお百度踏んでも駄目だっちだから、こちとらがいくら、それ……」
「へへえ……」と塚屋は唇をひん曲げた。「組合長ら何処さお百度踏んだのかよ。今頃はエネルギー絞り上げられっちまって、死んだように寝てべえ。ホルモン注射でもしてやらなけりゃ、肥料も来めえで。」
そう吐き出してから、「時に――」と塚屋は調子を改めた。「どうだや、旦那ら、はア、田植えっちまったのかい。