Classiques japonais avec furigana
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こぶ
犬田卯短編集 一
犬田 卯
Lisez 犬田卯短編集 一 (こぶ) de 犬田 卯 (いぬたしげる) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 48 259 caractères · 96 écrans
第一、元肥を打って植えるその気持だからな、そいつが千両したって買える品物じゃねえんだから……
由次が何か答えたようであったが耳に入らず、浩平は投げ出してあった自分の鋤簾をつかみ、器械的にそれを掘割へ投げこんだ。
さて、その頃、ヨシ子の容態が急に悪いといって、おせきは再びおさよから迎えを受け、家へとんでかえって、あれこれと気も転倒し、てんてこ舞いを演じていた。ヨシ子は今にも眼の玉を引っくりかえしてしまいそうなどろんこの眼をして、もはや痛みを訴える力もなく、うつらうつらと、高熱の中に、四肢をぴくつかせていた。腹部を見ると、まるで死んだ蛙のようにぷくらんと膨れ上り、指先で押しても凹まないくらいだった。
「おやまア、どうしたんだや、ヨチ子――」
おせきは初めのうち茫然として、そこに立ちつくしていた。こんな状態とは少しも考えなかったのだ。
近所へ家を借りて別居している母のお常が、野良支度ではあったが、いつものように身綺麗な、五十を半ば過ぎているにも拘らず、まだ四十台の女のような姿態で、ヨシ子の頭部を冷やしていた。ヒマシ油か何かを飲ませようと骨折ったような形跡もあった。