Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
くるいだこ
狂い凧
梅崎 春生
Lisez 狂い凧 (くるいだこ) de 梅崎 春生 (うめざきはるお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 111 430 caractères · 226 écrans
「くたびれたんだ」
「長話で肩が凝ったんかね?」
「いや。この間バスから辷り落ちてさ、背骨を痛めたんだ。あぐらをかくと、そこが曲り放しになるだろう」
奥の間で座布団を二つ折りにして、栄介はあおむけに寝た。背骨がぎしぎしと鳴るような気がした。眼を閉じると、瞼のうらにうっすらと涙が滲んで来るのが判る。舟の中と違って、家の中にはさまざまなにおいが、生活のにおいがただよい揺れていた。長い絵巻物を見終ったあとの、ぽつんとした空虚な感じがあった。
「そうか。相手は葬儀屋の女房だったのか」
彼は眼を閉じたまま呟いた。まだ疑念は残っていたが、彼にはもうどちらでもいいことであった。
「もしそうだとしても、あの娘は葬儀屋の子として育ったのだろう。そして子供を生む。その子供は、祖父が地隙を越えて進軍したことも知るまいし、ベロナールで自殺したことも知らないだろう。人間のやったことは、歳月とともに順々に忘れ去られてしまうんだ」
足音が近づいて来た。栄介は眼をあけた。加納がそこにいた。
「これ、アルバムなんだがね。これはわたしだよ」
アルバムの一頁目に、上等兵の肩章をつけた若い男の写真があった。