Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
くるいだこ
狂い凧
梅崎 春生
Lisez 狂い凧 (くるいだこ) de 梅崎 春生 (うめざきはるお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 111 430 caractères · 226 écrans
女たちは城介に近づいた。かるく頭を下げ、何か言おうとした。
「…………」
その年嵩の方の女の頬ぺたに、城介はしたたかな平手打ちを加えた。女は頬を押えてよろめいた。あまり意外な光景だったので、私は思わず立ち上った。女をたすけるために、学生たちに飛びかかったのではないか。女の頬を張るなんて話が違うじゃないか。城介は私の方に振り向き、大声で叫んだ。
「早く。逃げるんだ!」
そして彼は背中を丸めて、一目散に走り出した。刑事に追われて人混みにまぎれ込もうとする掏摸のように。いや、追込みに入った競馬の騎手のように。――あるいはいたずらを見つけられて逃げる子供のように。追われるというより、逃げること自身が愉しくて仕様がない。そんな感じの走り方で逃げた。
「それで――」
庭を見おろしながら、栄介は言った。
「君も逃げたのか?」
「うん。いや。五十メートルほど走って、走りやめた。僕は何もしなかったから、逃げることはないと思ってね」
庭の垣根の向うを、ぶち犬がのそのそと這って歩くのが見える。
「こんなところにギプスを乾しとくと、犬や野良猫が便をしやしないかな。恰好が恰好だし――」