Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

きょうば

狂馬

佐左木 俊郎

Lisez 狂馬 (きょうば) de 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 2 577 caractères · 6 écrans

Aozora Bunko

併し青は、黒い鼻先をほんの微かに蠢めかすだけであった。感覚の一切を、過去の生活の中へ置き忘れて来てしまったようにして、森の中の沼のような暗い眼を向けているのだった。その眼が果たして見えるのか見えないのか、ただじっと、暗い空間の一点に向けて据えているのだった。

「青! 本当にお前はどうしたのよ。おう? 元気がなくなったなあ。青! ああ、俺の飯が残っているから、お前に少しやろう。」

併し青は、坑夫達がそうしてくれる飯も、ほんの少しきり食わなかった。それも、一度口の中に入れたものを、思い出したようにしては噛み、またしばらくじっとしていて、思い出したようにしては、また噛むのだった。

青は本当に生きているのか死んでいるのかわからなかった。それは襤褸で拵えた馬のようでもあった。硝子玉の眼を嵌め込んだ剥製の馬のようでもあった。

「俺達も、年を取れば、青のようになるんだろうなあ。青! 俺達も今にこの坑の中でお前のようになるんだよ。お前よりももっともっと惨めになるかも知んねえ。」

「それはそうよ。人間も馬も変わりがあるもんじゃねえ。なあ青!」

坑夫達はいつもそんなことを言うのであった。