Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
きつねび
狐火
豊島 与志雄
Lisez 狐火 (きつねび) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 5 594 caractères · 11 écrans
途中で真暗になった。手に提灯をぶらさげて、手綱を短く取って、高い大きい身体をのっそりと急ぐでもなく、何やらぼんやり考え込んで歩いていた。ぽつり……ぽつり……というほどでもなく、小さな雨が降り初めたようだった。彼は時々立止っては、馬の平首を手で撫でてやった。
平兵衛の立場茶屋から半里ばかり行ったところに、昼間でも暗い森があった。それにさしかかった時、彼はふいにびくりとした。とたんに、森の木影から小さな姿が、提灯の光を受けた闇の中から、ぼーっと浮び出してきた。また気のせいかな、と思いながら二足三足機械的に進むうち、そいつが大きく伸び上って、森の梢までもとどきそうになった。ぞーっと髪の毛が逆立つ思いに、彼は却って無鉄砲になって、やっつけてやれと、手綱を一つぐいと引きしめながら、すたすたとぶつかっていった。が……何の手答えもなく、馬も荷馬車も影のうちに呑みこまれてしまって、しいんとなった。彼は無我夢中に森を駆けぬけた。
冷たくねっとり額と背中とに汗をかいていた。手綱を取ってる左の手の甲で額を一拭きした時、細かな雨が降ってるのに気付いた。そして何気なく空を見上げて、その眼をやった彼方の山裾に、ぱらぱらっと……消えたりついたり、よく見ると美事な狐火が、一面に押し動いていた。