Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

きつねび

狐火

豊島 与志雄

Lisez 狐火 (きつねび) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 5 594 caractères · 11 écrans

Aozora Bunko

本当に腕力沙汰に及んだこともあるが、彼の強い腕っ節にかなう者はなかった。

然し平素は、彼は極めて無口だった。その上次第に憂鬱になっていった。荒い眉根をしかめてることが多かった。そして大抵早めに家へ帰っていった。

家に帰ってから、いつも酒を飲んだ。女房や子供達に対しても、ひどく無口に冷淡になってきた。一人でむっつりとやたら飲みをしては、酔っ払って寝てしまった。

彼のそういう憂鬱の種は、或る漠然とした一種の気掛りだった。日が没してから街道を辿っていると、どこかの暗がりから、平吉の姿が――平吉ともいえそうな小さな奴が、ひょっこり出て来て、荷馬車の下に横たわりそうな気がした。馬鹿馬鹿しいと思うと、其奴が可愛くにこにこっと笑い出しそうになった。

この荷馬車がいけないのだ、と彼は思うこともあった。然し新らしく荷馬車を買代えるほどの金はなかった。それにまた、荷馬車のせいばかりでもなかった。

平吉が荷馬車に轢かれた時、彼は平吉の叫び声を何一つ耳にしなかった。そのことがいつまでも忘れられなかった。果してあの場合平吉は叫び声を立てたかどうか、それは全く彼にも分らなかったが、何の叫び声も聞えず黙って轢き殺されたということが、あの生々しい傷口や痙攣などよりも、何物よりも、不思議に不気味に思われた。