Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
どくしん
独身
Lisez 独身 (どくしん) de Mori Ōgai (森 鴎外) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 9 012 caractères · 19 écrans
極澹泊な独身生活をしている主人は、下女の竹に饂飩の玉を買って来させて、台所で煮させて、二人に酒を出した。この家では茶を煮るときは、名物の鶴の子より旨いというので、焼芋を買わせる。常磐橋の辻から、京町へ曲がる角に釜を据えて、手拭を被った爺いさんが、「ほっこり、ほっこり、焼立ほっこり」と呼んで売っているのである。酒は自分では飲まないが、心易い友達に飲ませるときは、好な饂飩を買わせる。これも焼芋の釜の据えてある角から二三軒目で、色の褪めた紺暖簾に、文六と染め抜いてある家へ買いに遣るのである。
主人は饂飩だけ相伴して、無頓着らしい顔に笑を湛えながら、二人の酒を飲むのを見ている。話はしめやかである。ただ富田の笑う声がおりおり全体の調子を破って高くなる。この辺は旭町の遊廓が近いので、三味や太鼓の音もするが、よほど鈍く微かになって聞えるから、うるさくはない。
竹が台所から出て来て、饂飩の代りを勧めると、富田が手を揮って云った。
「もういけない。饂飩はもう御免だ。この家にも奥さんがいれば、僕は黙って饂飩で酒なんぞは飲まないのだが。」
これが口火になって、有妻無妻という議論が燃え上がった。