Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

さる

猿

宮本 百合子

Lisez 猿 (さる) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 5 437 caractères · 11 écrans

Aozora Bunko

泣くような呻き声。

「エッダ!」

鏡をすて、部屋中を重く歩き廻る。

どうにかして、この考えを振り棄てたいというように、時々立ち止っては柱に頭を圧しつけ、壁に倚(よ)りかかる。が、苦しさは増し、やがて、どうにでもなれ! という風に洋燈を吹消してしまう。真暗闇の中で靴を脱ぐ音、寝床の掛布を動す音。ひっそりとする。やがて、苦しげな寝返りの気勢(けはい)。吐息。沈黙。いきなり、ひどい勢いでヨハネス寝床から飛び起る。素足でひたひたと床を踏み、衣裳箱の上の燭台に灯をつける。そして、蝋燭を引よせ、涙の跡のついた顔を鏡に写す。暗い鏡の面で、揺れる灯かげを受けた片影の顔が、不気味に見える。ヨハネス、緊張に堪えないように、わざと顔を動す。眉を動し唇を歪め、突然、

「あッ!」

鏡の中に、はっきり人間と猿の混血児のような動物の顔が見える。脅かされ、後じさり、息も塞(つま)って、

「猿!……猿!」

目も離さずに見るうちに、鏡面の動物の顔は、だんだん大きくなり、活々とし笑うように震えながら、鏡の中から抜け出して来る、ヨハネス、一歩、一歩と後退りながら、

「何だ! 貴様は、何だ!」

一切構わずその動物の顔は、刻々、延び、拡がり、迫って来る。