Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
りそうのおんな
理想の女
豊島 与志雄
Lisez 理想の女 (りそうのおんな) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 38 162 caractères · 77 écrans
彼女と遊んでる所(何の遊びだか分らなかった)、話をしてる所(何の話だか分らなかった)、黙って向い合ってる所(何処でだか分らなかった)、彼女が一人で佇んでる所、そういう極めて瞬間的なものばかりだった。然し夢からさめた後で、何だか妙な気がした。他の凡てのことがぼやけて、彼女のみが馬鹿にはっきり残っていた。勿論その顔立や姿などはぼんやりして分らなかったが、「彼女だ、」ということだけが明瞭に頭へ刻み込まれた。その上、夢の後で変に不安な胸騒ぎがした。どうも不思議だったのでつい秀子へ口を滑らすこともあった。「そうお、」と秀子は簡単に答えた。私も大して気にはしなかった。
所が、度重なるに従って、私は気になりだした。千代子の夢をみた後で、彼女に対して、しみじみとした、やるせないような、胸が苦しくなるような、変梃な気持ちを覚えた。しまいには、夢をみないのにみたと、眼を覚す瞬間に感ずるようになった。そして、私は一種の愛着を彼女に対して懐くようになった。その愛着の情が次第に募ってくると、いつのまにか「理想の女」と「彼女」とが一体をなして、私の心を惹きつけてしまった。私は夜早く寝るようになった。