Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

りそうのおんな

理想の女

豊島 与志雄

Lisez 理想の女 (りそうのおんな) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 38 162 caractères · 77 écrans

Aozora Bunko

「もう少し開けとおき!」と私は尖り声で云った。

「みさ子が風邪をひくじゃありませんか。暗くても温い方がよござんす。」と彼女は答えた。

私が枕を投って壊した障子の硝子は、まだそのままになっていた。私への見せしめか知らないが、彼女は新たに硝子屋へ頼むこともせず、または紙をはって一時の間に合わせることもしなかった。ぽかりと口を開いてる四角な穴からは、冷かな空気が流れ込んでくるようだった。

「硝子をはめさしたらいいじゃないか。」と私は云ってやった。

秀子は何とも答えないで、雨戸を閉め切ってしまった。室の真暗な中に、私は一人置きざりにせられたような気がした。その時電気が来た、俄に明るくなった。私達は互の視線を避けた。すると――ああ、女のでたらめな口先よ!――秀子は急にこう云った。

「硝子をはめさしても宜しいんですか。」

「はめないでどうするんだ!」と私は答えた。

「じゃあなぜ早く仰言らないの。」

「お前の方が黙ってるじゃないか。」

何だか馬鹿々々しかった。馬鹿々々しい気持ちが動いてきた。そして、それが喧嘩の終りだった。私達はまた口を利き出した。万事が平素の状態に返った。