Classiques japonais avec furigana
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うりのなみだ
瓜の涙
泉 鏡花
Lisez 瓜の涙 (うりのなみだ) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 10 247 caractères · 21 écrans
故あるかな、背後に迫って男が二人。一人の少い方は、洋傘を片手に、片手は、はたはたと扇子を使い使い来るが、扇子面に広告の描いてないのが可訝いくらい、何のためか知らず、絞の扱帯の背に漢竹の節を詰めた、杖だか、鞭だか、朱の総のついた奴をすくりと刺している。
年倍なる兀頭は、紐のついた大な蝦蟇口を突込んだ、布袋腹に、褌のあからさまな前はだけで、土地で売る雪を切った氷を、手拭にくるんで南瓜かぶりに、頤を締めて、やっぱり洋傘、この大爺が殿で。
「あらッ、水がある……」
と一人の女が金切声を揚げると、
「水がある!」
と言うなりに、こめかみの処へ頭痛膏を貼った顔を掉って、年増が真先に飛込むと、たちまち、崩れたように列が乱れて、ばらばらと女連が茶店へ駆寄る。
ちょっと立どまって、大爺と口を利いた少いのが、続いて入りざまに、
「じゃあ、何だぜ、お前さん方――ここで一休みするかわりに、湊じゃあ、どこにも寄らねえで、すぐに、汽船だよ、船だよ。」
銀鎖を引張って、パチンと言わせて、
「出帆に、もう、そんなに間もねえからな。」
「おお、暑い、暑い。」
「ああ暑い。」
もう飛ついて、茶碗やら柄杓やら。