Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Lisez 生々流転 (しょうじょうるてん) de 岡本 かの子 (おかもとかのこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 297 521 caractères · 586 écrans
中には指で殻を割ってみたら、まだおいしそうな果肉が案外、秘まっている女かも知れないと、蔓さきの木通の実を見付けたような笑いを泛べて近寄って来る男どももあります。
若さを気付かれては危しと、わたくしはそういうとき、
「あー あー」「ううん」
と唖の真似をいたします。しあわせにも唖の所作は物狂いの所作にも似通って受取られ、男どもはひた呆れに呆れた顔をして飛び退きます。人呼んで唖狂いのお蝶。今のわたくしに取って何とうれしい呼名ですこと。
人が口を開いて始めて出す声、「あーあ」人が最後に口を閉じて呻く声「ううん」それは生の象徴にもとれ、死の象徴にもとれる声です。今のわたくしにあとさきの生涯はございません。一声毎に生を味わい死を味わいます。もし寄せ重ねたら幾十百の生死――それはさて置き、この二声さえあればわたくしの身の上に取って何不自由ない表現の言葉になることはおかしいほどでございます。わが欲するものはすべて「あーあ」わが欲せざるものはすべて「ううん」です。飯を与えられゝば「あーあ」棒で打たれようとするときは「ううん」です。
人に対して若さを覆うために、われならなくに、ふと思い付いた唖の所作が、わたくし自身のためにも勿怪の幸となって、わたくしは深くも自分を唖とも物狂いとも思い込むのでした。