Classiques japonais avec furigana
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しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Lisez 生々流転 (しょうじょうるてん) de 岡本 かの子 (おかもとかのこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 297 521 caractères · 586 écrans
土手と川との間に砂地があり、その先に河の中へキリップが延びていて、この辺に船積みする前の煉瓦や瓦がいつも堆積しています。お三はそれ等の煉瓦で巧に住家を積み上げ、屋根は古トタン板で覆って住みついています。片足はちんばの乞食で醜婦だが農家出らしいがっしりした骨格で何もかも諦め切ったような放心状態でいます。子供持ちだというを可哀そうがって鷺町の旧家の百瀬の老妻が橋を渡らせ、鷺町へ連れて来て自分の家をも貰い先の常得意にさしたのでしたが、そのとき、他町の乞食が而も東京市と神奈川県との境を越して町を侵したというので鷺町の貰い専門の二人の乞食はいきり立ちました。そしてそれを宥めた眼鏡の花田と呼ばれる乞食との間に大喧嘩があってのち百瀬の家の剰りものだけは鷺町でも別扱いということになってお三に与えられることになったのでした。
お三は体格に似合わず乳がほとんど出ません。牛乳屋で剰った乳を買ったり貰ったりして育てゝいますが、子供はよく泣きます。乳房をあてがっても、子供は出ないのを知っているものですから、含ませても苦そうに舌の先で乳房を押出してしまいます。そういうときにはお三は袂の中から小さな紙包にした赤砂糖を取出して指で乳房に塗ります。