Classiques japonais avec furigana
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しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Lisez 生々流転 (しょうじょうるてん) de 岡本 かの子 (おかもとかのこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 297 521 caractères · 586 écrans
まして、一足靴を踏み抜く度びに、落葉の中に出来た窪跡から土に近い朽葉のやゝ醗酵した匂いが立騰るのが、日本紙の生紙で顔を拭くような素朴で上品で、もの佗びた感じを伴います。わたくしは、むしろ、この方が彷徨うことの目的のように細い径を縦横に歩きました。
林の中の靄は一層に濃く、二十間ほど四方の外は漠々たるそれに取囲まれ、わたくしは、行けども/\果しの無い木立の中を越し方も行く手も定めず、何か心の宝になるものを求めてひたすらに歩み続ける旅人のように自分が思えて来ました。そんなものがあるのか、また求めないではいられないのか、今の場合はそういう疑問はちっとも起りません。たゞ、わたくしはそれを求め続けて行く旅人なのである。そして、梢を透して林の中の靄が木立ごとだん/\明るく茜色に浮き立つのを見て行きますと、櫟林はわたくしを中に歩かしたまゝ大地ごと誰かの大きな手で擡げられ、しず/\宝の方へわたくしを近付かせられるように感じられてなりません。わたくしは、だん/\間を距てゝ来た安宅先生の銃声や猟犬の声をうつゝのように聞き做して林の明るい方/\と選んで歩き進みました。