Classiques japonais avec furigana
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せいしまんじどもえ
生死卍巴
国枝 史郎
Lisez 生死卍巴 (せいしまんじどもえ) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 91 598 caractères · 182 écrans
――いやあの晩は入ろうとした――と云うことを覚明殿に見抜かれたのが、失敗だったよ」
「茅野雄も内陣へ入りたがっていたようで」
「だからこそあの晩洞窟の口へ、こっそり忍んでやって来たのさ」
「そこで我々が襲ったという訳で」
弦四郎の一行は歩いて行く。
「どうともして今度こそ白河戸郷を、退治る方法を講じなければならない」
まだ弦四郎はこういうように云った。
「で、出かけて来たのだがな」
「ともかく一応白河戸郷へ、潜入する必要がございますな」
「そのためこうやって出て来たのさ」
弦四郎達は大森林を出た。
と、美しい花の曠野が、依然として人の眼を奪うばかりに、弦四郎達の眼の前に拡がった。
灌木に隠れ、丘に隠れ、弦四郎達は先へ進んだ。
と、にわかに立ち止まり、弦四郎はグッと眼を見張った。
白河戸郷の方角から、三人の男と一人の女とが、長閑そうに話しながら来たからであった。
「はてな」と、弦四郎は打ち案じた。
「遠目でハッキリとは解らないが、見たことのあるような連中だ」
で、じっと尚も見た。
歩いて来る四人は何者なのであろう?
一人は一ツ橋慶正卿であり、一人は松平碩寿翁であり、一人は刑部老人であり、一人は巫女の千賀子なのであった。