Classiques japonais avec furigana
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せいしまんじどもえ
生死卍巴
国枝 史郎
Lisez 生死卍巴 (せいしまんじどもえ) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 91 598 caractères · 182 écrans
(六)松倉屋勘右衛門はお菊を離縁し、真面目な大商人に帰ったそうな。
ではお菊や杉次郎や、弁太などの連中はどうしたか?
いや物語の傍流にいる、こういう人達の運命にまで、立ち入って語るのは無駄なことで、勝れた作家のやることではない。――だからうっちゃって置くことにしよう。
それから数カ月経った時であった。
慶正卿の館の奥で、慶正卿と碩寿翁とが長閑そうに話していた。
「どうだ碩寿翁、感ずるところがあったか?」
「はい、何でございますか?」
「もちろん今回の事件でだよ」
「はい、一つだけございました。……大金剛石の光を見た時、名誉も身分も財産も、生命もいらないと思いましたことで」
「どういうところからそう思ったかな?」
「ただ、そんなように思ったまでで。……つまり、思うに、あの光が、私の良心を眩ましたもののようで」
「その答えは俺には気に入った」
慶正卿は意を得たように云った。
「ああいう素晴らしい品物だから、売ったら大金になるだろう――と云うそういう心持から、誘惑されたのでなさそうだからな」
「はい、その通りでございます。理由は無く誘惑されましたので」
「それはこういうことになるのだ。