Classiques japonais avec furigana
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せいしまんじどもえ
生死卍巴
国枝 史郎
Lisez 生死卍巴 (せいしまんじどもえ) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 91 598 caractères · 182 écrans
四肢の均整がよく取れていて、胸などもたっぷりと張っている。切れ長でしかも大きな眼、肉厚で高い真直ぐの鼻、笑うごとに石英でも並べたような、白くて艶のある前歯が見え、その歯を蔽うている唇は、臙脂を塗ってはいなかったが、臙脂を塗っているよりも美しかった。練り絹の裾だけに、堂や塔や伽藍や、武器だの鳥獣だのの刺繍をしている、白の被衣めいた長い布を、頭からなだらかに冠っていた。異国織りらしい帯の前半へ、異国製らしい形をした、金銀や青貝をちりばめた、懐剣を一本差しているのが、この乙女を気高いものにしていた。
乙女を守護している娘達も、揃って美しく健康で、上品で無邪気ではあったけれども、被衣などは冠っていなかった。侍女達であることは云うまでもあるまい。
その一行が斜面を上って、丘の頂きへ立った時に、下から一斉に声を揃えて、呼びかける声が聞こえてきた。
――お嬢様ご用心なさりましょう。
――あまり遠くへおいでなさいますな。
――丹生川平の連中が、襲って参るかもしれませぬ。
距離がへだたっているがために、地言はハッキリと解らなかったが、こういう意味のことを言っているようであった。