Classiques japonais avec furigana
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せいしまんじどもえ
生死卍巴
国枝 史郎
Lisez 生死卍巴 (せいしまんじどもえ) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 91 598 caractères · 182 écrans
すなわち影法師の落ちているところの、野の花は影法師に蔽われて、色と艶とを失って、暗い姿となるのであるが、その反対に影法師が、先へ進んで行ってしまうと、暗い姿であった野の花が、鮮かに色と艶を甦生らすからであった。
こうして一行は進んで行ったが、一つの小さな林まで来た。
と、その林の向こう側から、女の歌声が聞こえてきた。
で、弦四郎の一行は、顔を互いに見合わせたが、眼を返すと木立の隙から、歌声の来る方をすかして見た。
被衣を冠った一人の乙女を、十数人の娘達が、守護するように囲繞して、各自野花を手にかざして、歌いながらこっちへ歩いて来ていた。
「素晴らしい代物がやって来たぞ」
額に瘤のある若者が、こう頓狂に声を上げた。
「醍醐殿々々々ご覧なされ、被衣を冠っているあの女が、白河戸郷の長をしている、将監の娘の小枝でございますよ」
「そうか」と弦四郎は小枝を見詰めた。
「遠眼でしかとは解らないが、いかさま美しい娘らしい。……が、何のために女ばかり揃って、こんな所へ来たのだろう」
しかし弦四郎にはそんなことは、どうであろうと関係はなかった。
弦四郎はすぐに計画を案じた。