Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
やくびょうがみ
疫病神
田中 貢太郎
Lisez 疫病神 (やくびょうがみ) de 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 521 caractères · 2 écrans
長谷川時雨女史の実験談であるが、女史が佃島にいた比、令妹の春子さんが腸チブスに罹って離屋の二階に寝ていたので、その枕頭につきっきりで看護していた。
それは夜であったが、その時病人がうなされていた。女史は何の気なしに床の間の方へ眼をやった。そこの床の間の隅に十五六ぐらいの少年がいて、それが腕ぐみしてじっと蹲んでいたが、その髪の毛は焦げあがったようで、顔は細長い茄子の腐ったような顔であった。女史はびっくりしたが、かねて疫病神のことを聞いていたので、ここで負けては病人が死んでしまうと思って、下腹へぐっと力を入れてその少年を睨みつけた。すると、少年の姿が煙のように消えるとともに、うなされていた春子さんが夢から覚めたようになった。
そのうちに春子さんの病気もすっかり癒ったので、女史は箱根へ出かけて往った。国府津で汽車をおりて、そこから電車で小田原へ往ったが、電車が小田原の幸町の停留場へ著いた時、何の気なしに窓の外を見ると、停留場の名を書いた大きな電柱に寄りかかって、ぼんやりと腕ぐみしている少年があった。それは彼の茄子の腐ったような顔色の少年であった。
女史はそこでまた下腹へ力を入れてぐっと睨みつけた。